2022年度 共通テスト 追試験 「国語 現代文」 解説
はじめに現代文の基本姿勢として2点のポイントを紹介しよう。
一点目は、客観的に読む、ということである。これは、あなたの意見や主張は聞いていない、ということであり、同時に出発点でもある。文章を読んで次の問に答えよ、というような文言で始まる現代文科目においては、回答、その全ての根拠を本文中より抽出しなければいけない。また巷で聞く、現代文を実力ではなく運、とする主張は、筆者と回答者の間にある主張の距離によるものである。これが近ければ点数は上がり、遠ければ点数は下がる。そういう意味で、学習を放棄した者にとっては運によって点数の上下する対象として映るのかもしれない。
二点目は、採点基準より逆算する、ということである。これは、採点基準に沿って回答する、ということである。試験というのは、解く(採点)するために作られているのだから、そこには必ず採点の基準が存在する。採点基準を意識した学習を積み・回答をすることで、得点を伸ばすことが可能である。また、この基本姿勢は、他の教科でも同様に当てはまるものである。例えば、数学においては回答指針を示すことによって同じ計算ミスでも得点が変わることがあったり、英語において文法知識の確認が不明と理由で「意訳」による減点・不正解、がこれにあたる。
第1問
評論テーマの現代文。評論文の特徴としては、基本的に筆者に何らかの主張があり、その主張を読者に伝えるために例示や比較などが用いられる。さらに、文章ならではの表現、独自の意味解釈、などが用いられることが多く、文章内で意味を推察しながら読み進めていくことが求められる。そのため、テーマ演習などが役に立たないとは言えないが、個別具体的な目の前の文章から離れた知識によって解答することで、自らを誤答へ導くことを心に留めておくことが重要である。
問2
選択肢回答:1
言葉は書かれることによって表層としての文字と内面としての声に分裂したが、もともと声に出された言葉にも音とそれが表現している内容なものとの間に差異があったということ
問3
選択肢回答:5
声はかつて状況に応じて個人の意思を超えた存在の意志を超えた様々な存在の言葉を伝えるメディアだったのであり、他社とは異なる「私」の内面を表すという、近代的な発想が唯一のものではないということ。
逆説の後ろに傍線部があることから、傍線部は新しい情報であることが分かる。つまり、傍線部の具体的な説明は傍線部の後でなされる。
- 文化としての「身体」は、さまざまな意味において単純な自然的肉体ではないのである。
- 「自然的肉体」=「裸の身体」
- 衣装も本質的には(中略)政治的な記号なのである。
- 「政治的(=宮廷社会)な記号」=「着物をまとった身体」
つまり、椅子は、単に身体に合わせて機能的に製造するのではなく、ライフスタイル(=服装や立ち振る舞い)に合わせて製造される、ということである。
問4
選択肢回答:3
電気的なメディアの中の声は、声を客体として加工し編集することで「作品」となり、語り・歌う者の存在を想起させて流通したり、声を発した身体から切り離されたものとして人々に多様に受容されたりすることがあるということ。
準備中
問5
選択肢回答:4
声と文字との関係を導入として言葉が内包するへだたりという概念を中心に論を整理しながら、新たに現れた電気的なメディアがもたらす経験について具体例を挙げて考察し、言葉をめぐる社会的な関係が変容すると総括している。
問6
選択肢回答:23423
準備中
第2問
小説テーマの現代文。小説の特徴としては、事実と感情を明確に切り分けて読む必要があるということ、である。また、小説は作品全体で連続的であることから、基本的なあらすじは問題自体で説明がなされており、一方でこれも含めて問題が作成されることから、絶対に読んでおく必要がある。感情については、事実との因果関係に注目すること、をオススメしたい。何が原因で感情を表す行動に至ったか、を丁寧に読むことで正解に辿り着くことができる。
問1
選択肢回答:3
人から自分が幸せに見えることがあるとは思っていなかっただけに女の人が自然な様子で千春の境遇を幸せだと言ったことに意表をつかれて、その後の会話を続ける言葉が思い浮かばなかった。
問2
選択肢回答:1
人から自分が幸せに見えることがあるとは思っていなかっただけに女の人が自然な様子で千春の境遇を幸せだと言ったことに意表をつかれて、その後の会話を続ける言葉が思い浮かばなかった。
- 他の人に「幸せ」なんて言われたのは、生まれて初めてのような気がした。
- 千春は自分が少しびっくりするのを感じた。
初めて「幸せ」と言われて驚いている、ということが読み取れる。これを、意表をつかれた、と解釈することができるかがポイント。
問3
選択肢回答:5・5
高校を辞めたことの理由づけにはならなくても、何かが変わるというかすかな期待をもって、女の人と会話するきっかけとなったことのおもしろさやつまらなさだけでも自分ではんだんできるようになりたいと思った。
問4
選択肢回答:4
「牛の話」の内容そのものはいかにも突飛なものに思えたが、それを自分のこととして空想することには魅力は感じられた。このことから、本を読むとかいう体験には、書かれているものをただ受け止めるだけではなく、自ら想像をふくらませてそれを関わることが含まれるのだと思った。
問5
選択肢回答:1
女の人がくれた「ブンタン」は、それを勉強机に置き、その香りのなかでお茶を淹れて本を読もうとしている千春の姿と、喫茶店でコーヒーを飲みながら本を読む女の人の姿とを結びつける。その香りの印象は、千春が本を読む楽しさを発見した清新な喜びにつながっている。
問6
(Ⅰ)
選択肢回答:1
相手と気さくに打ち解ける一方で、繊細な気遣いも見せる人である。
(Ⅱ)
選択肢回答:2
他の人や物事に自ら働きかけることのなかったこれまでの自分について考え始める。
おわりに
準備中